各種グッズテスト



 バッテリー寿命延長器「のびー太」

 今回、ハイグローヴ・インク様よりバッテリー寿命延長器「のびー太」のモニターレポートの依頼を受け、サンプル品を提供していただきました。
この装置は、特殊なパルス波をバッテリーにかける事によって、バッテリーを新品に近い状態にまで再生し、バッテリー寿命を2〜3倍に延ばす事ができるそうです。

詳細はこちら http://www.hi-grove.com

 これがバッテリー寿命延長器「のびー太12」
ネーミングのセンスが素晴らしいです。

大きさはタバコ2箱分ぐらい。
プラスチックケースから二本の電線が出ています。
そして表面には動作を示すLEDが一つ付いています。

テスト内容
 この商品の本来の目的はバッテリーの寿命延長なのですが、通常バッテリーの寿命は2〜3年。さすがにそんなに待つ訳にもいきません。
しかし担当の方のお話では、バッテリーが再生することによる副産物として低速トルクの改善や始動性の向上が見られるとの事。というわけで今回はバッテリー寿命以外での変化を調べる事にしました。


■具体的なテスト内容
・取付け前と後のバッテリー電圧を測定
・取付け前と後の始動時のようすを比較
・運転した時のフィーリング、加速感、エンジン音など
・固定式スロットルを使い、一定速度までの加速時の燃費を測定解析

なお、バッテリーの再生には2〜3週間かかるとの事なので、測定は取付けてから2週間後と4週間後に行いました。

■テスト車両
 ・HONDA モビリオW GB-1(平成14年式)1500cc CVT
 ・15インチアルミホイール装着
 ・1名乗車

■測定機器
 ・デジタル燃費計(HKS CAMP)
 ・SRAMカード(ログデータ取得用)
 ・バキューム計

取り付けてみる
 取り付けはいたって簡単。
本体から出ている二本の配線を、バッテリーの各端子に共締めするだけです。
後はステーを使って本体を固定しました。

※金具の都合で横向きに付けています。
 写真の貼り間違いではありません。


電圧測定
 取付前と取付後のバッテリー電圧を測定しました。
なるべく条件を同じにする為に、日曜日の朝一番、エンジン始動前に測定。
取付前 取付後4週間

う〜む、電圧が上がっているかと期待したのですが、明らかに下がってますね・・。
仮説ですが、のびー太はパルス波を発生させる為にほんの少しずつ電力を消費しているそうです。そのため一週間放置した後という条件では、こういう結果になってしまうのかもしれません。走行直後という条件で比較すれば、また違った結果が得られたかもしれません。

エンジン始動時の比較
 取付けて2週間ほどした頃、エンジンがとても元気に始動する事に気付きました。
取付前が「キュキュキュ、ブゥ〜ン」というのに対して
取付後は「キュキュキュ、ブィン!」という感じです。
何となく雰囲気が伝わったでしょうか?
ちょうど納車したばかりの頃がこんな感じだったのを思い出しました。

ここで実際どのような事が起こっているのか、データを取って比較してみました。
図1はコールドスタート(エンジンが冷えた状態で始動)でのエンジン回転数と燃料噴射量を表したものです。
これを見ると、始動してからどちらも同じように回転数と燃料噴射量が下がっていくのが分かります。一見大差ないようですが、よく見てみると始動直後に違いがある事に気付きます。


 図2は始動直後の部分を拡大したものです。
これを見ると、取付前より取付後のほうが燃料噴射量が少ないのにも関わらず、回転数が急激に上がっているのが分かります。
これは始動性が向上していると考えて良いでしょう。


一定速度までの加速テスト

 次に、一定速度までの加速を行った時の燃費を比較してみました。
図3は固定式スロットルを使って0−50km/hまでの加速を繰り返し行ったものです。
そして図4はそれを分布図にしたものです。
 これを見ると、取付前よりも取付後のほうが全体的に加速距離が長くなっています。
それに合わせて燃料消費量も増えています。これは燃費が悪化したことを意味しています。
平均6%の悪化です。
そして図5は加速データの中から平均的なものを抜き出して比較したものです。
これを見るとほとんど差はないようですが、取付後のほうが若干燃料消費が増えています。

 ここで、この変化がのびー太の有無だけで起こったものか調べるために、エンジンブレーキでの減速度を比較してみることにしました。
もし、タイヤ空気圧や風向き、その他何らかの影響で燃費に変化が現れたのならば、エンジンブレーキでも同様に変化があるはずです。

 図6はエンジンブレーキでの減速度を比較したものです。
これを見ると、取付前と取付後の差はほとんど見られません。
ということは、加速時間が伸びた原因は、空気圧や風向きの影響ではなかったと考えていいと思います。


日常のフィーリング、加速感
 いつも通り車を使用していますが特に変化は感じません。
計測器で測ってやっと見えてくるような違いなので、鈍感な私には何も感じられません。


まとめ
 というわけで、今回のテストでは燃費や低速トルクの改善は見られず、残念ながらほんの誤差程度ですが悪化してしまいました。この原因はわかりません。
しかし始動性については、フィーリングと解析データの両方で良くなることが確認できました。
ただ私の車では以前から問題なく始動できたのでフィーリングが変わっただけでしたが、バッテリーが弱ってエンジンがかかりにくい車なら、明らかに始動性が良くなるかもしれません。
これに本来の目的であるバッテリー寿命が延長されるのであれば、一度試してみる価値はあると思います。