アーシングにチャレンジ!

よく見かけた議題とその答え

アーシングに関する掲示板などで何度も繰り返されている議題と、その答えをQ&A形式でまとめてみました。



■Q1.ただのプラシーボ効果じゃないの?

A1.これは否定できない部分があります。理論上では純正アースが何らかの原因で抵抗を持ってしまっている場合、これがアーシングによって改善される事はあるでしょう。
しかし、効果があると思い込んだ人が、プラシーボ効果によって効くはずのない所にも効果があったように感じ、またそのレポートを読んだ人も同じように効果を感じる・・・といった事が繰り返されていくうちに、まるで魔法のチューニングのようにどこにでも効果があるように話がふくれ上がっている場面も見かけます。
 実際プラシーボ効果だけでボロ儲けしている業者も沢山ありますから、私たちとしては正しい判断力を身に付ける事が大切です。


■Q2.そんなに効果があるのなら、なぜ自動車メーカーは最初からやらないのでしょう?

A2.やっていない訳ではありません。自動車の電気回路は、各電装部品に必要な電力を十分流せ、かつコストを抑えて必要最低限のアース線が設置されています。
エンジンルームをよく見てみると、各部から数本のアース線がボディに繋がれているはずです。
設計は、アース線そのもののコストだけでなく、それを取り付けるコストや耐久性、後々の整備性も考慮しなくてはなりません。


■Q3.ディーラーオプションでアーシングが設定されている車があります。ディーラーが取り扱うということは、確実に効果があるからでは?

A3.あくまで「オプション」であるところがミソです。
本当にそのアーシングが必要で、車の性能をさらに高めるのであれば、Q2のように純正状態から装備されているはずです。
特に燃費に関しては、カタログ燃費をほんの0.1km/L上げるだけでも自動車メーカーはとてつもない開発費を注ぎ込んでいます。
それに比べれば、電線を数本追加するぐらい簡単なことです。
オプションのアーシングはエンジンルーム内のドレスアップになり、他に悪影響を及ぼすこともなく、お客さんが喜んで買ってくれるから取り扱っている、と考えるのが妥当でしょう。


Q4.ホームセンターでアーシングキットが1980円で売っていました。これって効くの?

A4.効くかどうかは車の状態にも寄りますが、アーシングするためのパーツとしては十分使えると思います。自作してもそれぐらいの費用はかかりますから、手間を考えれば妥当なところではないでしょうか。
ただ注意することは、やたら高いものには手を出さないことです。
アーシングのブームに便乗して、無酸素銅の電線や金メッキ端子を使って2万も3万もする超高価なアーシングキットがありますが、こんなものはまさにボッタクリです。電線や端子にどれだけ低抵抗のものを使っても、それを付ける車側の接触抵抗があるかぎり意味がありません。


■Q5.アーシングをすると凄いトルクアップして、アクセルワークが難しくなった車もあるそうですが。

A5.それは気のせいだと思います。アーシングは元々働きが悪くなっていた電装品を設計通り動くようにするものですから、今まで低下していたトルクが多少改善される事はあっても、そこまでパワーが上がる事はまずありえません。


■Q6.マフラーにアーシングすると静電気が除去され、排気効率が上がるそうですが?

A6.これも考えられないでしょう。机上の空論に過ぎないと思います。
そもそも静電気は非常に高電圧かつ低電流ですから、多少の電気抵抗には影響されずに、すぐにエンジンやボディから逃げてしまいます。


■Q7.アーシングをするとエンジンの各種センサーが正確に動作するようになるそうですが。

A7.これもほとんど影響はないと思います。エンジンの各種センサーは、バッテリーからではなく定電圧電源にて5Vで駆動されています。また、アース側もボディーやエンジンブロックに落とさずそれぞれ独立して配線されているので、アーシングの影響を受けることはまず無いでしょう。
そもそも車のECUは、多少の電圧変動や誤差などの影響を受けにくいように作られていますから(影響を受けるようでは困る)、アーシングでほんの僅かな抵抗が無くなっても何も起こらないでしょう。


■Q8.バッテリーマイナスとエンジンヘッドの抵抗値を測ったら、0.03オームしかありませんでした。これでも効果あるの?

A8.その場合は純正状態で十分にアースされていますから、アーシングしても効果はないと思います。ただし、点火プラグに供給される交流波形のような脈動電流には、何らかの変化があるかもしれません。


■Q9.結局アーシングしたら何が変わるの?

A9.これについては未だに決め手となる答えは見つかっていません。(こう書くと、どこぞのオカルト系燃費グッズと同じように感じますが)
しかし、今一番有力と考えられている原理は「点火プラグの失火が減る」ということです。
点火プラグに送られる電流は、一次側のバッテリー電圧をコイルによって数万ボルトまで昇圧しています。もしわずかな抵抗によって一次側に電圧降下が起きていた場合、それがたとえほんの少しであったとしても、コイルによって昇圧された時はかなりの電圧の差になってしまいます。
アーシングによってその抵抗を減らすことによって、点火プラグに高い電圧を安定してかける事ができるようになり、失火する確立が低くなると考えられています。
ただし、この効果が現れるためには、アーシング前にある程度の失火が起こっている必要があるので、新車や設計の新しい車ではほとんど効果が期待できません。

■(2003年6月18日追記)
 Q9について掲示板で教えて頂いたんですが、点火コイルで発生できる電圧が高くなったとしても、実際にはもっと低い電圧で放電が始まるとのことです。
つまり、点火コイルは純正状態でも十分余裕のある電圧を発生できるように設計されているわけで、やみくもに発生電圧を上げても、実際のエンジン出力に影響してくるかは疑問。とのことでした。

というわけで、この項目はしばらく保留とさせて頂きます。



とまあ賛否両論で一体どっちなんだ?という説明でしたが、今現在言えることは、

1、アーシングは理論上では説明がつく
2、しかしネットや雑誌の広告で騒がれているほど劇的な効果はない
3、パワーアップはしないが、少なくとも新車状態に近づく可能性はある。
4、新車や設計の新しい車よりも、古い車のほうが効果が期待できる。


と言えそうです。
もし、あなたの車が効果が出そうかな?と思うなら、チャレンジしてみる価値はあると思います。休日にのんびり楽しみながらアーシングを行い、それで効果があれば儲けものですね。