TOYOTA AURIS


 

 オーリスは発売当初から雑誌の記事などで知っていたものの、実は購入候補ではありませんでした。形状やスペックは私の欲しい条件に近かったのですが、昔から「クルマ好きはトヨタ車を選ばない」という変な思い込みがあったからです。
 ところが、他の車種を買うつもりでディーラーを見て回っている時、競合車としてオーリスの見積もりをもらって試乗してみたところ、非常に気に入って買ってしまったというクルマです。
 納車されて1ヶ月程ですが、早速インプレしてみたいと思います。


ファーストインプレッション


エクステリア
 やはりパッと見るとデカヴィッツ!
特に真正面から見た顔は、オーナーである自分ですら区別がつかない時があります。対向車で「おっオーリス!?」と思ってすれ違ったらヴィッツだったという事が何度あったことか。トヨタはこの顔をトヨタブランドの顔として売り出して行くそうですが、ヴィッツのイメージが強すぎてまだまだトヨタの顔には見えません。
 とはいえ、このデザイン自体は悪くないと思います。光の当たり方や見る角度によっては、力強くもカッコ良くもマヌケにも見えます。

 サイドや斜め後ろからのビューは、とてもバランスが良いデザインだと思います。全幅1760mmのワイドボディが生み出す張り出したオーバーフェンダーと、それからリヤへ回り込むブリブリした造形が、非常に安定感があって私好みです。

 グレードがSパッケージのため、本革巻きステアリング&シフトノブ、フォグランプ、16インチアルミホイール、エアロパーツが付き、外観もグッとスポーティーになっています。

インテリア
 乗り込んで最初に目が行くのはやはり特徴的なセンターパネル。
宙に浮いたような「フライングバットレス」という名のオブジェから生えたシフトレバー。これはハンドルに近く操作しやすい位置にあり、コックピット感やスポーティーさを感じます。
 しかしこのオブジェ、質感はプラスチックの塊であり、助手席⇔運転席のウォークスルーはほぼ不可能。そしてこれまた特徴的なサイドブレーキレバーも操作しにくく、このデザインを生かすために小物入れも犠牲になっています。これがオーリスの室内デザインの売りであり、確かに斬新でインパクトは凄いのですが、マイナス面もかなりあるような気がします。
 ブラックのシート地や本革巻きステアリング、室内の色使い等は欧州車の雰囲気を感じさせてくれ、見た目は良い感じです。しかし実際インパネを触ってみるとこれまたカチカチのプラスチック。車体に金をかけすぎて内装でコストダウンせざるを得なかったという事らしいですが、上質ハッチを謳うからには触感ももう少し頑張って欲しかったですね。

メーター回り

 1.8Lモデルに標準装備されるオプティトロンメーターは私のお気に入り。スポーティーなデザインでインパクトもあり、視認性も良好。
 メーター中心に配置されるマルチインフォメーションディスプレイは、オド、トリップの他に外気温、時計、瞬間燃費、区間平均燃費、区間平均速度、航続可能距離、走行時間の表示が可能で、後付け燃費計は不要かと思えるほどの多機能ぶりです。その他クルマの状態を日本語表示で知らせてくれます。
 キーをポケットに入れたままボタン一つでエンジン始動ができるスマートエントリーも標準装備。キー出して差し込むという動作が必要なくなるので、慣れると非常に便利です。
 いやー便利なものが開発されると、人間はどんどん堕落していくものです。

運転席
 フロントシートはスポーツタイプでサイドサポートがしっかりしており、クッションの厚みも十分あります。わりと硬めのシートなので長時間でも疲れなさそう・・と思っていたら、シートポジションが決まらずいきなり腰痛。今はシートポジションの調整で大分良くなりましたが、もう少し調整を煮詰めたいですね。
 標準ではセンターのアームレストが無いので、オプションのアームレストコンソールを付けました。しかしこれが低すぎて全く肘が置けない。結局アームレストの上に5cmほどの低反発クッションを付けて対処しました。あとドア側のアームレストも低くて肘が届かない。確かブレイドに試乗した時はこの上にクッションが貼られていたような・・。

リヤシート
 リヤシートの作りはしっかりしていてクッションも十分な厚み。シート自体の前後スライドはありませんが、背もたれのリクライニングは可能。膝周りの余裕も十分で、何より床がフラットなので足元は広々です。
 背もたれ中央にはドリンクホルダー付きのアームレストが入っていて、これを引き出せばゆったりくつろげる空間になります。リヤシートに私が乗る事はまずありませんが、このシートならロングドライブも余裕だと思います。

ラゲッジルーム
 荷室はモビリオよりは狭いものの、このタイプのクルマとしては平均的。
リヤシートは畳む際に座面がダイブダウンするタイプなので、多少角度は付くものの、ほぼフラットの広い荷室になります。
また荷室下にはラゲッジトレイがあり、ちょっとした小物を収納できます。

エンジンルーム
 これが新開発1.8Lエンジン。直4DOHC Dual VVT-i 136ps/6000rpm 17.8kgm/4400rpm 圧縮比は10.0。
 よく見てみるとエンジン周りには結構余裕があります。これはブレイドの2.4Lエンジンや、それ以上のエンジンも積めるように設計されているとのこと。
 ボンネット裏には吸音材が張られていて、ずっしりとしています。このクラスとしては異例の量の吸音材を使っているとのことで、さすがにエンジン音はとても静かです。


ドライビングインプレッション

 納車されてしばらく走ってみた感想です。
見るだけでなく、実際に運転してみない事には本当の良さは分からない。オーリスはそういうクルマでした。

エンジンのフィーリング
 新開発の1.8Lエンジンは、ハッキリ言ってかなり良いです。
低回転から十分なトルクがあり、静かでスムーズに回ります。高回転まで回すとエンジン音は多少大きくなるものの、あくまで心地よい音でグイグイ加速していきます。
 エンジン音はかなりお気に入り。少し低音の効いたアイドリング音も良いのですが、少し踏み込んで2000〜3000rpmで加速する時のグォォォン・・という音が心地よい。スポーツマフラーを付けたクルマとはまた違った、品の良い重低音という感じです。

CVTのフィーリング
 CVTの制御はかなり燃費重視。必要な時だけ回転数を上げ、それ以外は極力低回転を保とうとする設定のようです。
発進時は回転数のわりに加速がややもたつく感じで2000rpm程まで回ります。ある程度スピードが乗るとストンと回転数が落ち、1200〜1300rpmでじわじわと加速を続けます。アクセルを緩めるとさらに回転数が下がり、1000rpmぐらいで巡航状態になります。
特筆すべきはエンジン回転数の低さ。一般道で巡航する時はほとんど1000〜1200rpm。高速100km/h巡航でも1850rpmほど。「こんな回転数で走れるのか・・」と唖然としてしまいました。

 アクセルレスポンスも優秀で、踏んだ分だけ忠実にパワーが出るような回転数に制御されます。巡航状態から少し踏み足しただけではあまり回転数は上がらずにじわっと加速、ぐっと踏み足すと瞬時に回転数を上げてグイッと加速を始めます。無駄に回転数が上がっている印象は無く、常にポンピングロスの少ない領域を積極的に使っている印象を受けました。
 また、アクセルオフ燃料カット状態(1100rpm)からほんの少しアクセルを踏むと、回転数が上がるかと思いきや下がって1000rpmで巡航しようとします。さらに燃料カット状態からフットブレーキを踏むと、今度は回転数が上がり積極的に充電しようとします(充電制御)
こういったきめ細かな制御はCVTが最も得意とする部分であり、燃費には理想的だと思います。

足回りとハンドリング
 足回りとハンドリングはこのクルマで私が一番気に入っている所でもあります。
ダンパーは硬めのセッティングで、低速ではコツコツと細かいギャップを拾うものの、速度を上げる程に路面にピタっと吸い付くフィーリングには思わずニンマリしてしまいます。工事中のデコボコした路面を通過しても、ストレスを感じる事なく車体の揺れを一回で吸収してくれる感じです。

 高速走行はまさに水を得た魚のように、ビシッと安定しています。ワイドトレッドの効果か横揺れは皆無に近く、ハンドルから手を離してもほとんど車線がずれない。開発時にアウトバーンやニュルブルクリンクで試走を繰り返したというだけあって、直進安定性やスタビリティの高さはかなりのものです。

 ハンドリングは軽快かつ上質。適度な遊びがあるものの、ステアリング操作に忠実に横Gが変化する感覚は、運転してとても気持ちが良い。スポーティーと言うより素直でとても分かりやすいハンドリングです。

 パワステのフィーリングも上々。前車モビリオの電動パワステは、コーナーの立ち上がりでタイヤからの反力では舵角が完全に戻り切らず、手で直進状態に戻してやる必要がありましたが、オーリスのパワステは電動とは思えないほど滑らかで、スッと直進状態に戻ります。

燃費
 今回の買い替えは「しっかり走ってくれる良いクルマ」が欲しかったので、実は燃費はあまり重要視していませんでした。ところが納車後初めてのドライブで純正燃費計読み17.8km/Lを記録。往復100km程の距離で、高速6割、郊外4割の比較的燃費の良くなる走行条件でしたが、これだけ走ってくれれば十分満足です。
純正燃費計と実燃費の誤差はまだ分かっていないので、このへんは長期で見ていきたいと思います。

総評
 欧州のCセグメント市場に殴り込みをかけるべくトヨタが本気で作ったクルマ。ボディや足回りに金をかけすぎて内装がチープになるなど、今までのトヨタからは考えられないクルマ作りをしたということに魅力を感じます。
 同価格帯の他のクルマと比べると、使い勝手や室内の広さは同等かそれ以下になりますが、その分「走る、曲がる、止まる」というクルマの最も基本的で重要な部分がしっかりと作られていて、それは素人の私が乗っても感じる事ができるということ。
 ヴィッツの顔で3ナンバーボディ、ウィッシュが買えてしまう高めの価格設定からすると、日本でバカ売れすることはまず無さそうなクルマです。欧州戦略のために開発されたクルマというだけあって、見た目や装備に誤魔化されず、実際に運転してみてその乗り味や雰囲気を気に入った人だけが買う。そういうクルマだと思います。